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2050年エネルギー変革に向けた耐熱金属材料の信頼性評価と新材料設計

 高温水素環境における耐熱金属材料の材質変化評価

 脱炭素化社会の実現には、エネルギー貯蔵媒体から製造業における原料としての水素利用が不可欠であり、製造から輸送・発電・内燃機関・水素製鉄等にかかる技術の成否が鍵を握ると言われています。 水素技術は、供給・価格の懸念により現状では懐疑的な意見もありますが、2030年以降必要な技術となり、今から課題抽出・調査を進める必要があります。 高効率な水素製造法として期待されている固体酸化物型水電解装置やアンモニア分解型の水素燃焼ガスタービン等では、600ºC以上の高温水素環境が生じます。

 高温水素環境による材料損傷は「高温水素損傷」と呼ばれ、脱炭(図1参照)やメタンバブルの形成が生じます。 この分野は石油精製・化学プラントで長年調査・研究されてきましたが、上記水素環境で想定される高温条件と材料をカバーできていません。 当研究室では、高温水素環境で長時間保持することが可能な熱処理を構築し、ステンレス鋼からNi基合金までの幅広い材料に対して高温水素環境での材質変化挙動を調べる基礎的評価に着手しています。

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図1 ステンレス鋼(316相当)の水素環境下での脱炭現象:
(左)試料内部,(右)試料表面近傍
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図2 雰囲気熱処理炉